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Chapter 39 - シーズン1 パート2 - エピソード3:異世界(ことなるせかい)の心の灰

トーナメント・アリーナは,魂を揺さぶるほどの生々しいエネルギーで轟いていた.

観衆の歓声は圧倒的だった――喝采,叫び,信じられないという声――声の嵐が一つにぶつかり合う.

天井からは,粉々に砕けた夢の断片のように紙吹雪が降り注ぎ,まばゆいアリーナの光の下で,金と赤の万華鏡のように渦巻いていた.

その中心に立っていたのは**明雄(アキオ・ムネ)**だった.胃が上下し,体が激しく震えている.

汗で濡れた手からバドミントンラケットがだらりとぶら下がり,それを落とさないように握る力もほとんど残っていなかった.

周りの世界はぼやけて感じられ,まるで目覚めることのできない夢の中に放り込まれたかのようだった.

俺は勝った,明雄は信じられない思いで考えた.

俺...本当に勝ったんだ.

この試合は,単なるゲーム以上のものだった.

トーナメント以上のものだった.

それは彼自身の魂をかけた戦いであり,彼の過去の人生からの影――明雄の自己認識が粉々になるまで魔術学院で彼を苦しめた,**宙(ソラ)**という名の怪物との対決だった.

見ている全ての人にとって,それは伝説的なスポーツイベントだった.

しかし,明雄にとっては,遥かに暗いものだった.

火による,絶望による,血と汗と涙による試練.

彼は目を上げ,疲労と感情でぼやけた視界の中で,コートの反対側に倒れている宙を見た.

一瞬,明雄の心に奇妙で,言葉にできない痛みが込み上げた.

それは勝利ではなかった.

喜びでもなかった.

それは,悲しみのような,もっと重い何かだった.

宙...俺たちはどうなってしまったんだ?

勝利の抱擁

突然,聞き慣れた声が騒音の嵐を切り裂いた.

「おい,アキオ!」

**羽純 雪子(ハズナ ユキコ)**が貨物列車のように観衆を突き抜けて突進してくるのに,明雄はほとんど反応する暇もなかった.

雪子は,いつも陽気で頼れる存在で,たった一回の笑顔で最も暗い部屋さえも明るくできる,そんな友人だった.

彼の短く乱れた白い髪は汗で顔に張り付き,緩いパーカーは走りながら激しく揺れていた.

「アキオ,やったな!」雪子は純粋な喜びで声を震わせながら叫んだ.

「お前,本当にあのサイコをぶっ倒した! 俺はお前にその力があるって言っただろ,イェア!」

明雄が身構える間もなく,雪子は彼をタックルして抱きしめ,数インチ宙に持ち上げた.

打ちのめされた体に痛みが走り,明雄は喉の詰まったような息を漏らした.

「ゆ,ゆき――ゲホッ――雪子! 息ができない!」明雄は顔を赤くして,ゼイゼイと息を吐いた.

「マジで,雪子,俺を押し潰してる!」

雪子はただ笑った.その声は温かく,誇りに満ち溢れていた.

「お前はこれに値するよ,マジで! まるで英雄みたいに戦ってたぞ!」

「応援しすぎて,声が出なくなるかと思ったぜ,アキオ!」

ようやく彼を地面に戻したが,雪子はすぐに明雄の背中を思い切り叩いた.その音は雷鳴のように響いた.

明雄は激しく咳き込みながら前によろめいた.

「マジで痛いってば!」彼は抗議し,苛立ちで頬を膨らませた.

「俺はもうボロボロなんだ!」

雪子はいたずらっぽい笑みを浮かべた.

「だったら強くなれよ,な」とからかいながら,明雄の肩に腕を回した.

「今夜は祝勝会だ.言い訳は聞かねぇぞ」

勝利の歓声に囲まれ,ほんの一瞬だけ,明雄は自分に笑顔を許した.

だが,その脆い平和は長くは続かなかった.

宙の影に包まれた退場

明雄が友人たちと栄光に抱かれている間,宙は静寂の中を一人で歩いていた.

大会関係者が彼を挟んで歩き,その表情は張り詰めて慎重だった.

彼が歓声を上げる群衆から遠ざかるにつれて,空っぽの廊下の影が彼を飲み込み,その一歩一歩は重く,機械的だった.

囁きが彼の耳に届いた.静かだが,突き刺さるような言葉だった.

「彼には深く不穏なものがあった」と一人の関係者がつぶやいた.

「試合中,明雄に囁いていた様子...まるで精神的に彼を破壊しようとしているかのようだった」

「ご両親と話すべきだ」と,もう一人が険しい顔で応じた.

「暗闇がある.私にはそれが感じられる」

両親という言葉が,宙の背筋に冷たいものを走らせた.

彼らは本当の両親ではなかった――この体も真に彼のものではないのと同じように.

明雄と同じく,宙もこの現代世界に転生していた.

そして明雄と同じく,宙は,長年の苦悩――与えたものも,受けたものも――によって歪められた心の,膿んだ腐敗を共に運んでいた.彼は,今自分が所有している体の元の持ち主の記憶の内部を見せられ,それを見るだけでも怯えていた.

彼らが非常口に近づいたとき,薄暗く点滅する街灯の下に二つの人影が現れた.

一人の人影は,肩幅が広く威圧的で,その顔は酔った怒りの恒久的な嘲笑で刻まれていた.

そしてもう一人の人影は,骨と皮で目だけが虚ろで,その存在感は氷よりも冷たく感じられた.

関係者たちは丁重にお辞儀をした.

「お越しいただきありがとうございます」と一人が言った.「懸念事項について調査する間,今夜は宙さんにご一緒にお帰りいただくのが最善だと考えております」

父親の手が,押し潰すような力で宙の肩に落ちた.

その握りには優しさはなく,ただの所有欲だけがあった.

彼らが彼を連れ去るにつれて,宙の胃に穴が開いた.

あの家に向かう一歩一歩が,奈落の底へと深く歩みを進めているように感じられた.

鎖の家

家にはアルコールと汗,そして古びた錆と乾いた血のような,金属的な臭いが染みついていた.

空気は重く,息苦しく,まるで壁そのものが何世紀もの憎しみを宿しているかのようだった.

ドアが彼らの後ろで閉められた瞬間,父親の轟く声が張り詰めた静寂を打ち破った.

「この役立たずのクズめが!」彼は唾を飛ばして吠えた.

「今夜,俺たちに何をしやがったか分かってるのか?! お前はこの家族をみんなの前で辱めたんだぞ!」

宙は震え,自分を保とうとした.

「ご...ごめんなさい.最善を尽くしました」と彼はかすかに囁く声でどもった.

その答えは,彼の顎を砕く拳だった.骨と骨がぶつかる嫌な音が響いた.

宙の体は後ろに吹き飛び,壁に叩きつけられてから床に崩れ落ちた.

温かい血が彼の口を満たした.それは金属的で苦かった.

母親はひるまなかった.

彼女はただ腕を組み,その目は冷酷で死んでいた.

「哀れね」彼女はヒステリックに言った.「まるであの離婚した金持ちの父親そっくりだわ」

宙は血を吐き出し,胃が上下した.

「お願い...」彼は懇願した.

「俺はただ――」

父親は彼の髪を掴み,雑巾のように床を引きずった.宙が地面を無力にかきむしる中,彼の爪は裂けた.

彼の下の木材は,汚物と古い染みで滑らかになっていた.

彼は壁に固定された錆びた金属パイプに投げつけられた.

彼が逃げ出す前に,冷たく重い鎖が彼の手首と足首に巻き付けられ,その場に拘束された.

鉄が彼の肌に食い込み,容赦なかった.

「この町中の前で俺を辱められるとでも思ったのか?!」父親は酔った怒りで目を血走らせて怒鳴った.

「貴様の居場所を教えてやる!」

暴行の始まり

宙の腹への最初のパンチは,彼の肺から空気を叩き出した.

彼は身を二つに折り,激しく咳き込んだが,すぐに頭の側面への二発目の打撃を受けた.

彼の目の奥で星が弾けた.

父親の拳は容赦なかった.

一撃一撃が計算され尽くし,酔った怒りと,痛みを伴う正確さに満ちていた.

肉を打つ音は,狭く息苦しい部屋に響き渡る残酷なリズムのようだった.

「お,お願い!」宙は叫び,涙が血と混じった.

「ごめんなさい!」

父親は唸った.

「謝罪じゃ足りねえ!」

凶暴な蹴りが宙の肋骨に叩き込まれた.

骨が鳴る鋭く,嫌な亀裂音が空気に満ち,続いて宙の喉から引き裂かれた悲鳴が上がった.

痛みが激しく燃え上がり,一瞬彼の視界は白くなった.

母親はそれを見ながら,冷たく,笑みのない笑みを浮かべた.

「もっと強く叩きなさい」彼女は無感情に言った.

「この教訓を絶対に忘れさせないようにね」

父親は熱心に従った.

宙の世界は苦痛の渦となった――パンチ,蹴り,そして彼自身の血が床に滴る生々しい音.

地獄のバット

父親がついに動きを止めたとき,それは慈悲ではなかった.

それは準備だった.

彼の腕が,壁の釘に掛かっているバットに伸びた.

木材の端にはスパイクで傷がつけられ,数え切れない過去の暴行で黒く染まっていた.

宙の心臓は胃に落ちた.

この体の元の持ち主の記憶が,津波のように押し寄せた.

このように鎖に繋がれて過ごした夜々.

空気を切り裂くバットの音.

激痛.悲鳴.絶望.

「やめろ...」宙は激しく震えながら,か細く泣いた.

「お願い,お願いだから――」

最初の強打が,鋭く耳をつんざくようなクラック音と共に振り下ろされた.

炎が宙の背中を走り抜け,皮膚が肉から引き裂かれた.

彼の悲鳴は原始的で,耳障りで,それを聞いた者を傷つけるような種類の音だった.

二発目の強打が同じ箇所を打ち,傷を深くした.

血が細かい霧となって飛び散り,壁を深紅に染めた.

三発目,四発目,五発目が矢継ぎ早に続いた.

宙の背中は,腫れ,引き裂かれた筋肉,そしてぽっかり開いた傷口のグロテスクなキャンバスとなった.

打撃のたびにもっと血が流れ,もっと悲鳴が上がり,彼の喉は擦り切れ,声は完全に途切れた.

「何でもするから!」彼は嗚咽し,痛みで言葉がほとんど聞き取れなかった.

「お願い! やめてくれ!」

だが,止まることはなかった.

ただ,無限の,容赦ない苦しみのリズムだけが続いた.

限界点

暴行が続くにつれて,宙の精神は分裂し始めた.

明雄のイメージが彼の心に押し寄せた.

嘲笑され,苦しめられ,屈辱を受ける明雄.

宙が彼の頭上に立ち,笑っている間に絶望に歪む明雄の顔.

明雄...,涙で視界がぼやける中,彼はか細く考えた.

これ...これが,お前が感じていたことなんだな?

あの何年間も...この痛み,この無力さ...

嗚咽が彼の喉から引き裂かれた.

初めて,宙は明雄の苦しみの深さを真に理解した.

そして初めて,彼は自分自身を憎んだ.

最後の一撃

父親は最後の一撃,破壊的な一撃のためにバットを振り上げた.

宙は目を閉じ,永遠に闇に沈む準備をした.

だが,その一撃が落ちる前に,玄関のドアが耳をつんざくような激しい音と共に爆発的に開いた.

ドォン!!!

壁が揺れた.

父親は途中で動きを止め,その酔った怒りは一瞬にして砕け散った.

戸口に縁取られて立っていたのは,外の土砂降りの雨に濡れた明雄と雪子だった.

彼らの目は,目の前の恐ろしい光景を見て見開かれた.

鎖で壁に繋がれた,ぐちゃぐちゃで血まみれの宙の体.

悪魔のように彼の上に立つ両親.

酒と苦しみの悪臭が空気に充満していた.

「ソラ!」明雄は,恐怖に満ちた声で叫んだ.

「やめろ!」

雪子の手は脇で震え,彼のいつもの明るい態度は,白熱した怒りによって打ち砕かれていた.

「おい,マジで...」彼は低く,危険な声で唸った.

「お前ら二人とも,死んだな」

父親は振り返り,唸った.

「てめぇらは誰だ?! 俺の家から出ていけ!」

明雄は一歩前へ踏み出した.彼の目は,二つの人生の痛みから生まれた炎で燃え上がっていた.

「今すぐ終わらせる!」彼は吠えた.

かろうじて意識を保っていた宙が,頭を上げた.

血と涙の霞を通して,そこに立っている明雄が見えた――そして転生して以来初めて,希望が彼の砕け散った心に瞬いた.

最後の力を振り絞り,彼は一つ,か細く途切れた言葉を囁いた.

「ア...キオ...」

画面が暗転し,外で荒れ狂う嵐の音と,宙の荒く,震える息遣いだけが残された.

つづく

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